「ひと味違う」の正体は…

先週、ご新規のお客様が来店された。
わりと若い女性の方。

ふらっとご来店されたかと思うと、日替わりのごはん付きのセットと単品ほぼ全種をおひとつずつお買い上げ。
「日替わりのメニューって、どうしたらわかりますか?」と聞かれたので、インスタのストーリーズでお知らせしていることを案内し、その場でフォローしてもらった。

翌日、取り置きの電話がかかってきた。
おかずセットと単品全種類ひとつずつ。

指定の時間にそのお客様がご来店された。
商品お渡し・お会計の際に、その方が
「だんだんいろんなものが食べられなくなってきてるんです」と。

「???(・・?」
好き嫌いなのか、それともアレルギー的なものなのか尋ねたところ、
「外食したり、コンビニやスーパーのお弁当とか食べると、マズく感じるようになってきて…(-_-;)」
と。(察するに、自炊はされないのだろうと…)

「添加物のせいなのか何なのかわからないんですけど、美味しくなくて食べられなくて…だから、なるべく手づくりのところを探してて、ここに辿り着いたんです」と。そして、
「昨日、2日分のつもりで買って帰ったんですけど、美味しくて全部食べてしまったので、今日また来ました」と。
とても嬉しいし、ありがたいことだ。

とはいえ、3NASびの料理も全くの無添加というわけではない。
(前にも書いたことがあるが)砂糖・塩・醤油・酒・味醂・味噌・油などは「○○風」ではないちゃんとした調味料を使うのと、うま味調味料単体を使わないことは徹底しているけれど、マヨネーズやドレッシングなどの合わせ調味料などは使っているので(一応それらも味や品質の確認はしている)。
全くの無添加にしてしまうと、原価や品質管理や手間暇など諸々難しいことが増えるからなのだけど。

もし市販のもので味のマズさを感じるとしたら、添加物だけでなく、素材の味がしないせいもあるのではないかと思う。

常連のお客様から
「3NASびの料理は、田舎の農家さんのおうちで御馳走されてるような美味しさがある」
「スーパーなどのお惣菜は味が濃いのになんだか無機質な感じがするけど、3NASびの料理は味わいを感じる」
「家庭料理の味のようでもあり、料理屋さんの味のようでもあって、ひと味ふた味違う気がする」
との感想を頂いている(もちろんいただくのはお褒めの言葉ばかりではないけれど)。

これって味付けそのものもあるとは思うけれど、「素材の味が活きているかどうか」によるところも大きいんじゃないかと思う。
というのも、食品加工工場で働いていた時に知ったのだけれど、加工品に使われる食材のほとんどが大量の湯水で洗浄された上、薬品を用いての下処理がされている。
野菜や果物などは皮むき・カットされてる状態で洗浄(殺菌なども含め)され、肉も下茹で→水洗いで完全に灰汁を取り除いて…
それからの調理である。
これでは食材に含まれる栄養素も失われるし、食材そのものの風味(何なら味そのもの)なんて残ってるはずもなく、足りない分は「香料」で補っている状態。
(この「香料」が厄介で、甘味料や着色料などと違って、どんなものを使っていても「香料」としての表示しか義務付けられていないのだ)
私達が加工食品の多くで「味」として感じているものの多くは、この「香料」によるものだ。
(「炭火焼き風味」みたいなのも、「無果汁」のジュースのフルーツの味も)

手づくりの料理の味で違うところは食材(素材)の下処理の仕方と、(基本的に)「香料」を使っていないってことなんじゃないかと思う。

3NASびでは塩をめっちゃ使う。
調味にではなく下処理に。だ。

肉にしても魚にしても、野菜や果物やその他様々な食材に対して、それらの良くないところを落としたうえで、味を引き出すような適切な下処理が必要で、それは味付けだけではどうにも補えない素材そのものの美味しさを引き出すのに必要不可欠なのだ。
時間も手間もコストもかかる。
けど、それを丁寧にしているからこそ、わかる人にはちゃんとわかってもらえる味の違いに繋がっているんだと思う。

これからも美味しいのはもちろん、カラダが喜ぶような栄養たっぷりのごはんをつくっていきたいと思う。