【事業計画】三方良しを目指すWIN・WIN・WIN

「お冷は無料で当たり前」
という感覚はおかしい!

今日、賃貸営業の仕事で、申し込みをいただいてたお客様からキャンセルをされるということがあった。
通常、申込書をご提出いただいた後のキャンセルはあんまりない。
その中でこの度のは特にあり得ないキャンセル。

お客様は就業している19歳男性。6/19からの入居予定。
未成年者の契約のため、ご両親からの「親権者同意書」が必要。
お申込み前からキャンセルまでの流れは以下の通り。

まずお申込み前の時点での価格交渉。
即決を条件に、礼金を1か月分を半額に値引きさせてからの申し込み(もちろんオーナーとの価格交渉は私)。
次に、通常は宅建士による重要事項の説明後に契約書費用を入金してもらうのだが、オーナーの要望で1週間以内の入金をお願いし、一旦はお客様も了承。
請求書データをお客様に送ったところ「両親がこんなにすぐお金を払わせるのはおかしいと言っていて、同意書をもらうのが難しい」と。一旦こちらの要望を了承しているのに、だ。
そこで契約費用の支払いについては、管理会社やオーナーによって異なる旨を説明。この度で言えば、オーナーの気持ちとして「値引きしてるので、部屋止めしてる期間中に安易にキャンセルされ、機会損失をしたくない」という気持ちがあってのことだ。
だが「入居まで日にちがあるのに、すぐにお金を払うのは納得いかない」の一点張り。
結局、オーナーもお客様も譲らずで申し込みをキャンセルすることに。
とはいえ、単純に「今回のことはなしに」とはならない。
なぜなら、価格交渉もしているし、(支払いを了承されてたので)契約書の作成も完了してるし、宅建士の予約も入れていたので。それらに対する「手数料」が発生するのだ。
その事を伝えたら今度は「契約もしてないのにお金がいるのはおかしい」と。
それに加え「仮に契約してても、民法5条で未成年の契約は取り消すことができる」と。
………(-_-;)馬鹿なん!?

いや、キャンセルはできるよ?
けど、自分が約束事を全開で反故にしていることと、契約に至ってないとはいえこれまでに多くの手間時間費用が掛かっているという認識が抜け落ちてる。
わかりやすくお買い物で例えたら、「この商品○○円(通常より利益薄)なら買うから仕入れて」っていうから、仕入れたうえで先払いを求めたら一旦了承したうえで、先払いが納得いかないとキャンセルしてる状態。その上で、キャンセル了承の代わりに手数料のみを請求するも、それも拒否。と。

結局のところ「自分の手元に何もないのにお金を払うのはおかしい」と言ってるのだ。
ただ考えて欲しい。
手元に何もないからといって、何も発生してないの?ってこと。

●利益薄での商品提供を約束
→価格交渉の時間・手間
+オーナー(仕入れ先)との信頼関係をかけた交渉
●ちゃんと商品は仕入れている
→仕入れのための費用がかかっているし、他の買い手を排除している
→支払い(契約開始)までの期間は利益が発生しない状態(機会損失)
●先払いに一旦は了承している
→未成年ゆえの錯誤の契約ではない
→一方的な不当な請求ではない
●その了承を元に事務処理(契約書の作成など)が完了している
→これらには相当の時間や手間を要するし、紙や印刷などの費用も伴う

これら全部をナシと。

本来ならこうした理不尽な要求には毅然と立ち向かいたいところなのだけど、ぶっちゃけ忙しすぎて、見込みのない案件に注力する無駄な時間も精神的余裕もないので、理不尽感じながら今回はナシにした(本当はゴネ得みたいなのは嫌なのだけど)。
日本人の抜け落ちてる感覚。
全てのサービスは有料!

以前「水代800円」で炎上したシェフがいたが、その事を思い出した。
水=お冷なのだが、現在の日本においてはほとんどが無料提供されている。
とはいえ、ちょっとした高級店や、「飲」を主体としたお店では水も有料なのは当たり前の事実。

何が問題なのか?

無料で提供されるサービスに対して「タダで当たり前」の感覚を持っていること。
これが感謝できない諸悪の根源。

わかりやすく「お冷」で例えるなら、もちろん未開封のペットボトルに入ったミネラルウォーターなら有料でも納得できたとしても、水道の水を浄水器を通した“だけで”、それをポットに入れた“だけで”、スタッフがテーブルに持ってきてくれた“だけの”、水は無料じゃないとおかしい!って感覚。
その感覚がおかしい。だってお冷が提供されるのに…
・浄水器やそのフィルターの費用は掛かる
・水を冷やすための氷(製氷機)が必要
・水を入れるポットやグラスが必要
・ポットやグラスの洗浄が必要
・お冷を提供するのにも人手が掛かっている
これがタダで当たり前のはずがない。お店側がサービスで提供してくれていることに感謝がないと。

日本人は「お客様は神様」意識が根強い。
サービスの提供者がこの意識を持ってお客様に接するのは素晴らしいとは思う。
問題なのは客側が「お客様は神様」を振りかざして過剰なサービスを求めることが往々にしてあること。
本来、客とサービス提供者は対等な関係である。
もちろん客がお金を支払ってくれるから提供者は収入を得ることができる。
客側からすれば、提供者がいるからサービスを受けることができて、その対価としてお金を支払っているのだ。
にも拘らず、「お金を払ってやってる」態度をとったり、過剰なサービスを要求する客が少なからずいるのだ。

世の中はgive-and-takeで成立する
客側も提供者がいてくれるからこそ自分の満足が得られているという認識がないといけない。
giveとtakeのバランスが大事なのだ。
過剰なgiveを求めてくるtakerはもはや客ではないと私は思っている。
客と提供者がwin-winの関係でないとサービスを維持していくのが困難だからだ。

更に目指すのは「三方良し」
「売り手良し」「買い手良し」「世間良し」の三つの「良し」。
売り手と買い手がともに満足し、また社会貢献もできるのがよい商売であるという考え方。

みんなが幸せになるwin-win-winな世の中になるように。
さぁ!やるぞ!!