混ぜるな危険

(続)

居心地の良さや雰囲気づくりを重視した場合、避けられない問題があることを強く感じている。

それは「ターゲットを絞る」ということだ。
すなわち「どんな人に利用してほしくて、どんな人に利用してほしくないか」ということ。

今まではあまり深く考えずに「たくさんの人に気軽に利用してもらえたら…(*´▽`*)」と呑気に思っていたのだけど、つい先日そうは言ってられない出来事に直面した。

以前からランチで来店してくれている年配の姉妹のお客様がいるのだが、とある日、その妹さんの方がお一人で来られて「二人ね。姉も来るから」と。
カウンターの端に座られたので、あとから来られたお客様はひとつ席を空けたお隣を案内した。

妹さんの方は3NASびのお店からすぐそこに住んでいて、お姉さんの方はバスで15分ほどのところに住んでいる。
「『3NASびに行こう』と電話があったから、すぐに来た」と妹さん。
その時点でお姉さんが何時に来るのかはもちろん、どんな手段でくるものかもわからないとのことで(タクシーなら10分程度だが、バスだと乗っている時間に加え、バスが来るまでの待ち時間や降りてからの歩き時間も加わるので、時間が読めない)。

料理の提供は合流してからということで、2席キープお冷のみで30分経過。
その間に他のお客様が来られたので、普段は使ってないテーブル席を案内(本当はカウンター席希望)。
その後カウンターのお客様が入れ替わり…。
1時間が経過。
バスを利用だとしてもいくら何でも遅いので、(携帯電話を持たれてることを知っていたので)電話をしてみることを勧めるも、なぜか全然かけようとせず、通りを眺めに外に出てみたり。

さすがにお腹が空いたみたいで、「とりあえず自分の分だけつくって」というので、一人分のランチを提供。
席は相変わらず2席キープ。
その後、他のお客様の姿はなくなり。
食べ終わってもなおお姉さんは来られず。
相変わらず電話もせず、外と店内を行ったり来たり。

そんなこんなで1時間40分が経過。
その間ずっと同じ話(この日だけでなく、以前から何十回も聞かされている)なうえ、その内容もあまりに常識的に理解しがたいもので…。
食べながらしゃべるからボロボロこぼしてるし、(これは仕方がないことでもあるけれど)好き嫌いが結構あるらしく、いくつか料理を残している状態。

さすがに私もこの状況を耐えられなくなりそうだったので、少し強めにお姉さんに電話することを勧めた(というか、電話を出してもらって私がかけた)ところ、なんとなんと(;゚Д゚)!
お姉さん、家から出てなかったΣ( ̄ロ ̄lll)ガーン。
どうやら「行く」って言ったのを忘れてたらしい…。

そこから数分間電話で口論した後、妹さんがお帰りに。
約2時間弱、2席キープでフル接客で、テイクアウトなしコーヒー付ランチ一人分お会計1050円。これはお店にとっても損失が大きすぎるし、他のお客様にとっても心証がよくないだろう(お金を払わずに席をキープしてサービス(接客)を受けているのだから)。

合わないお客様を受け入れることで、よいお客様が逃げるというのはよく聞く話で…3NASびでは夜の営業の時に痛いほど感じたことでもあるし。
以前までのお客様が少ない状態ならそれなりに対応できてたけれど、近頃ではお客様が増えてきて、しかも料理だけでなくお店の雰囲気なども気に入ってもらえるようになってる中で、同じようにするのは難しい。
「多少時間やお金をかけてでも3NASびに来たい」と思ってくださる方のご利用が増えている中で、「誰でもどこでもいいから、できるだけお金をかけずにかまってほしい」という人に、時間・労力・場所その他諸々を提供することは、「多少時間やお金をかけてでも3NASびに来たい」と思ってくださる方に対して失礼だと思うし、やはり(誰でも当り前だと思うが)3NASびとしては「多少時間やお金をかけてでも3NASびに来たい」と思ってくださる方を大切にしたい。

「どちらも」は無理。

これから事業を新しく展開していこうとするなら、まずはそのあたりをどうするのかを明確にしていく必要がある。
「ワイワイにぎやかにおしゃべりしたい」人と「静かに仕事したい」人が同じ場所で過ごすことは無理。
「わずかな休息時間を丁寧に満喫したい」人と「暇を持て余しててダラダラ過ごしたい」人が同じ場所で過ごすことは無理。
ひとつの空間で「誰もが満足できるサービスを提供」は無理ということだ。

混ぜるな危険。
さて…、どう分けるかが問題だな。