人の振り見て我が振り直そう

東京のイベントで販売されたマフィンが食中毒を引き起こしたというニュースが話題になっている。

イベントは11月11日・12日の2日間で、9種類約3000個が販売されたという。

購入者から腹痛などの体調不良を訴える声が続出、「納豆みたいなにおいがする」「糸を引いている」と写真付きのSNS投稿などから騒動に火がついた。

これを受けてのお店の対応が、
(コメント要約)「納豆のような匂いがしたら食べずに連絡ください。保管場所は18℃を保ってましたが、外気温が高かったため何個か傷んだ可能性があります。検品はしてましたが、気づかず販売してしまい申し訳ありません。」
とSNSでコメントするという…。

その後も体調不良や返金対応を求める声が続出したため、イベント2日後に店側が保健所に連絡。立ち入り検査。
翌15日に厚労省が、販売されたマフィンを最も危険度の高い「クラス1」(毒キノコやフグ毒、腸管出血性大腸菌汚染の生野菜などが分類)のリコール対象としたことを公表。

と、まあ、流れとしてはこんな感じなのだが、その後どんどん追記事が出るわ出るわで。

問題のマフィン、「全て防腐剤、添加物不使用で市販の焼き菓子の半分以下のお砂糖の量で作っており、離乳食完了期のお子様より安心してお召し上がりいただけます」と謳われているのだが…。

(;゚Д゚)全然安心できんわ!

「防腐剤不使用」も焼いたその日に販売なら問題ないとは思うけれど。
今回のものはイベントの5日前から焼いていたという。
しかも「18℃で保管」が恒温恒湿室とかでなく「エアコン18℃設定の部屋で保管」で…常温放置やん。
これで「防腐剤不使用」は無謀すぎ(@_@;)

それだけならまだしも、製造過程にも問題があったようで。
どうやらキャパオーバーな個数をつくるのに、
・一度に焼く個数増・焼き時間短縮
・冷却不十分な状態で包装
だったらしい。

あたたかい生焼けのマフィンをラップにくるんで、水蒸気を吸い込ませながら緩やかに冷まして、室温で5日間放置。
どう考えても「ヤバいもの」が仕上がるのは一目瞭然なのに。

それを「防腐剤や添加物を使ってないから安心・安全」とはかなりの危険思考。
食品衛生について不勉強すぎるのではないか(-_-メ)?と。
そもそも原材料にベーキングパウダーを使ってるのに「添加物不使用」って言ってるあたりで食の知識がないのは露呈しているけど。

3NASびでは、添加物に関しては「不使用」ではなく「最低限」としている。
というのも、「うま味調味料」や「甘味料」「酸味料」「香料」など、『味』に関する添加物は極力使用しないようにしつつ、「保存料」など『品質保持』に関する添加物は適切に使うことが必要だと考えているからだ。
その上で、味付けを少し濃くしたり(塩分糖分増での防腐効果)、調理したものの販売期限を短く設定したり、お客様へも早めのお召し上がりをお願いするなどして、「添加物最低限」としている。

調理場所は常に清掃・清潔を保ち、調理に使う器材の洗浄消毒を徹底。
食材の管理も細心の注意を払い。
包装も、完全に冷却してから実施。
保管は高温多湿を避けて。
食品衛生的には当たり前中の当たり前を当たり前に。
これに関してはどこまでいってもやってやり過ぎはないので、可能な限り徹底的に。

今回のニュースで、「人の振り見て我が振り直せ」で気を引き締め直すことができた。

と同時に、食品添加物は「積極的に使おう」とまでは思わないけれど、味や生産性や品質保持など食のあらゆる問題を解決するために、多くの人が研究を重ねた人知の塊だし、必要なもの。
「無添加だから安全、オーガニックだから安全」は幻想で、衛生的観点から「添加物は適切に使った方が、下手な無添加食品より安全」という認識が広がってくれたらと思う。
あくまで「適切に」であって、使わなくて済むものには使う必要はないけど。