【孤独死】お別れ

午前9時より大谷斎場にて火葬を行った。
父の最後に集まったのは私の一家を含め10人。
さみしい最後だ。
父の身内は子どもが3人、と自身が6人兄弟(3人存命)でそれぞれに子や孫がいるのに。
市内では大きな会社の役員まで勤め、実家の寺では檀家の総代までしているのに。
そのほとんどが駆けつけることはなかった。
いかに父が人間関係を築けてこなかったかがよくわかる。

私にとって、可もなく不可もない人物だった。好きとか嫌いとかいう感情が全く伴わない、実体のないような存在だった。
戸籍上で父という人物がある、という感じ。

父が火葬炉に入り、ロビーで待つこと約1時間半。
ほとんど父の思い出が話されることはなかった。というより、思い出自体がほとんどないのだ。

父が火葬炉から出てきた。
驚くほど骨がしっかりと残っていた。歯もほとんど残っていた。
いかに健康に気を付けていたかがよく分かった。
趣味は献血で、表彰されるほど通っていたし、それが健康のバロメーターになっていたのは記憶にある。
そしてよく歩いていた。車を所有せず、たまにバスを利用していたが、とにかくよく歩いていた。

お骨を拾い上げ、骨壺に納めていく。
壺に一杯にお骨を詰め、蓋がされる。
お骨は寺で引き取ってもらうことになっていたので、駐車場まで運び、いとこに渡した。

これで最後だ。
父との別れ。

父の人生が幸せなものだったかどうか、望むようなものだったかどうかはわからないが、魂というものがあるなら、せめて心安らげる場所に行ってもらいたいと思う。