【書籍】「ユダヤ人の成功哲学『タルムード』金言集」

普段から同時に3冊を読み進めるようにしている。
朝の時間帯に読む本・勤務中の休憩時間に読む本・夜寝る前に読む本と分けているのだ。
特に大きな理由はないけど、まぁ気分転換になるし、やはり時間帯によって脳の欲しい情報が異なるように思うから。
そして意外にも別の時間帯に読んでいる別ジャンルの本の内容が、リンクすることも結構あるのだ。

基本的に読書は隙間時間にするようにしているうえ、同時に3冊ずつなので、1冊あたりの読み終わるまでの日数がかなりかかる。

この度やっとこ2週間かけて読み終えた本を紹介したい。


ユダヤ人の成功哲学「タルムード」金言集
石角完著 20210420初版

普段の生活では接点のないタルムードやユダヤの教えに触れることができ、出典されてる文言や挿話には感心するものが多くあって、子どもにも教えたり一緒に考えてみたいと思った。

著者の解説や見解はちょっと横ちょに置いといて、私がおすすめの挿話とそれに対する私の見解を少し。

キツネと葡萄畑

ある日、キツネが葡萄畑のそばを通りがかった。あまりに美味しそうな葡萄が垂れ下がっているので畑に入って取ろうとした。ところが葡萄畑はしっかりと柵に囲まれていて、太ったキツネはその隙間を通れない。そこでキツネは考えた。
『よし、それなら野うさぎを捕まえるのをやめて何日も空腹を我慢すれば、痩せて策の隙間を通れるようになるに違いない』
キツネは餌を獲る狩りをやめて、自分の巣の中に何日も籠って空腹じっと我慢した。
やっと柵の隙間を通れるくらいに痩せてきたので、フラフラになりながら巣穴から出て、葡萄畑の柵をすり抜け、お目当ての葡萄にありついた。
その葡萄の美味なこと。あまりに美味しいので、ついついキツネは夢中になってもうこれ以上胃に入らないほど何房も食べ続けた。そして生っていた葡萄を全部食べつくしてしまった。
ハッと我に返ったキツネは、自分の腹が葡萄でパンパンに腫れあがって、入ってきた柵を通り抜けられなくなってしまったことに気がついた。このままでは自分の巣穴に戻れない。そこでキツネは考えた。二つのオプションがあると。

 

オプションAは、苦しいけれど食べた葡萄を全部吐き出して胃袋を元のペシャンコに戻す。
オプションBは、両氏に見つかる危険を冒して柵の中にとどまり、葡萄の木の間に身を隠して、入った時と同じように痩せるまで待つ。
さて、キツネはどちらを選択したのだろうか?

にしかわち。
にしかわち。

この話のポイントは「選択肢の中に正解がない」ということ。
=正解を自分自身で導き出し必要があるということ。
特に子どもに話し聞かせ、共に考えるのがよいお話。
まずは選択肢を示さずに少し考えさせる。
次に選択肢を示して、選ばせる。
続いて、本当にそれが正解か、子どもの答えに「なぜそう思うの?」と問いかけを繰り返すことで、最適解を子ども自身に考えさせることができる。

Aなら「せっかく食べたのにもったいないし、苦しいよ?」
Bなら「猟師に見つかったら殺されちゃうよ?」

と。
「ならばどうすればよかったのか」と考えさせる。

・腹がパンパンになるまでいっぺんに食べないで、腹3分を何度か繰り返す。
→繰り返すほどに猟師に見つかる危険性が高まる。

・柵をすり抜けるようなネズミやリスに運ばせ、葡萄を分け与える。

→安全だが自分の取り分が減る。

・キツネは餌を狩り、それを鳥に分けることで、鳥に葡萄を運ばせる。

→自分の得意を活かすことで、危険なく欲しいものを手に入れるが…

など。自分なりの正解が見つかるまで考えるのだ。

ヘブライの王の助言

ある村に、毎日のようにい自分の不幸を嘆いている男がいた。男の言い分はこうだ。
「オレの家は狭いうえに、子どもが四人もいて、おまけに女房が太っているので、自分は毎日立って寝なければならない。ひどい話じゃないか。こんな狭い家に住むオレほどこの世で不幸な人間はいないだろうよ」
この不満を聞いたヘブライの王は、男にこう命令した。
「おまえはその狭い家の中で、ニワトリを10羽飼いなさい」
王の命令に嫌々従った男は、こう不満を申し立てた。
「女房と子供だけでも足の踏み場もないのに、ニワトリ10羽をそこで飼ってたら、私は糞にまみれて寝よと言うのですか。前よりも不幸になりましたよ」
これを聞いたヘブライ王は、さらにこう命じた。
「それではニワトリ10羽に加えて、羊を10匹家の中で飼いなさい」
男は王の命令だから従ったが、国中の人間に向かって、自分は王の命令のおかげで世界で一番不幸な目に遭っていると、言い回った。
しばらくして、やっと王は「ニワトリ10羽と羊10匹は、家の外で飼ってよい」と命令を変えてくれた。
次の日、男は王のもとに、感謝の品々をもって駆けつけて、こう言った。
「私は大変幸せな男です。今や、私の家には家内と子ども四人、広々と暮らせるようになりました。ありがとうございます」
にしかわち。
にしかわち。

幸福と幸福感、不幸と不幸感は別のものとして捉えるということが書かれている。

この話に出てくる「ヘブライ」という言葉の語源は、「向こう側の人」「別の角度から見る人」という意味らしい。
同じ状況でも見る角度によって幸福にも不幸にも感じられるということ。

満たされないことを不満に思っている人は、今あるしあわせに気づくことができない。

私はこの話の中で、今ある物事に感謝をすることが幸せを得られる唯一の方法だと感じた。

続く。